大型複合機のフィニッシャーとは?
ビジネス向けの大型複合機・コピー機。コピーやプリントアウト、スキャン、FAXが使えることは分かっているものの、他にも便利な機能があることを知っているでしょうか?なかでもフィニッシャーは優れモノ!!コピー機や複合機をより高機能にグレードアップさせてくれます。
フィニッシャーとは?
数枚のコピーやプリントなら、そのまま保管したり手渡すこともありますが、資料用など同じ内容を何部も印刷した場合は、一式をホチキスで留めたり、印刷された紙を折ったり、パンチで穴をあけたり…と印刷だけでは終わらず、続きの作業が発生してしまいます。そんな面倒な「続きの作業」を複合機と連携して行ってくれるのが、フィニッシャーです。
基本的には複合機・コピー機にオプションとして追加することになり、取り付けられる機種は限られています。家庭用などのプリンター複合機などには取り付けられないことが多く、一方、大量の印刷を想定したビジネス向けの複合機・コピー機ではほとんどの機種で取り付けが可能です。
フィニッシャーの種類は主に2つ。複合機・コピー機の排紙部分に設置するインナーフィニッシャーと、コピーの横に外付けで設置するサドルフィニッシャーがあり、一般的にインナーフィニッシャーは低速機~中速機、サドルフィニッシャーは中速機~高速機に取り付けられ、サドルフィニッシャーの方が充実した機能を備えています。
【出典】電巧社サイトより
フィニッシャーで業務効率UP!
フィニッシャーでできることのうち、最も使用頻度が高そうなのはステープル機能。耳慣れない言葉だと思いますが、早い話が印刷物のホチキス留めです。
ステープル(ホチキス留め)
フィニッシャーを使うことで会議資料や配布物のホチキス留めが可能。インナーフィニッシャーはステープル機能のみのことが多く、サドルフィニッシャーでも型番によってはステープル機能のみの機種があるほど、フィニッシャーの定番かつ最も使用頻度が高いと思われる機能です。インナーフィニッシャーは手作業でもホチキス留めができる厚さがメインなので、50枚や100枚以上の厚い印刷物を留めるならサドルフィニッシャーの方がパワフルなのでオススメです。
また、ステープル機能には機種によって針アリ・針ナシとありますが、針ナシは消耗品(針)のコストが掛からず、不要になったら針を取らずにシュレッダーで処分できるなどの利点がありますが、ばらけやすくまとまった量の用紙を綴じたい時には向いていません。針アリは逆。消耗品(針)代のコストやシュレッダーで廃棄する際に針を取る手間は生じますが、綴じる力が強く大量の用紙でも留めることができます。
中綴じ(中折り)
冊子や教材(テキスト)、台本などに多い中綴じ。手作業では不可能な綴じ方です。厚くなることが大半なのでサドルフィニッシャーに付いている(※機種による)機能です。
三つ折り
綴じるだけではなく折ることもできるフィニッシャー。分かりやすく広げた状態の写真を掲載しましたが、完成時の状態は折られているので、そのまま封筒などに詰めることができます。また、機種によっては、あらかじめ折った状態で印刷することもできます。
Z折り
A3の資料をA4サイズのファイルやバインダーに保管したい場合や配布物を置くスペースに限りがある場合などに用いられる折り方です。山折りと谷折りで1回ずつ折っているため、外三つ折りとも言われます。基本的に「折る」機能はサドルフィニッシャーにしか付いていません。
その他
中綴じされた冊子などに、印刷済みの表紙を付ける機能を「インサーター」と言います。これによって、手作業で表紙を付ける作業が省かれます。
バインダーに閉じたり、紐を通すなら「パンチ」機能がオススメです。手作業でペーパーパンチを使う手間が省け、また手作業にありがちな穴ズレも防げます。「パンチ」はサドルフィニッシャーだけではなくインナーフィニッシャーでも可能(※機種による)です。
業種や使用頻度は限られるかもしれませんが、カバーシートを付ける機能が備わっている機種もあります。さらに印刷物を分類するソート機能など、印刷後の加工をする機能が盛り沢山で、業務効率の大幅アップが期待できます。まさに印刷のフィニッシュを請け負うフィニッシャー。複合機・コピー機の追加オプションに検討してはいかがでしょうか?
フィニッシャーの価格相場
主にステープル機能のみのインナーフィニッシャーはコピー機・複合機の排紙部分に設置するため、小型で導入価格も数万円程度からとリーズナブルです。一方、様々な機能が搭載されているサドルフィニッシャーはコピー機・複合機の横に外付けで設置するため、場所を取り導入価格も高額で、場合によってはコピー機をもう1台導入できるほどの出費になってしまうこともあります。
基本的には規模が大きくオフィスの広さも充分で、なおかつ印刷枚数が多い企業でサドルフィニッシャーが導入され、印刷枚数があまり多くない、あるいは広さに限界があるオフィスでインナーフィニッシャーが導入されています。
では、フィニッシャーを導入する場合、価格はどのくらいになるのでしょうか?希望小売価格をチェックしてみましょう。
SHARPの場合(一例)
オフィスタイプ | ハイボリューム | ミドルオフィス | スモールオフィス | ||
複合機の機種 | MX-6540FN | MX-6170FV | MX-3650FV | MX-2610FN | MX-2020F |
フィニッシャーの型番(一例) | MX-FN20 | MX-FN29N | MX-FN31N | MX-FN17 | オプション不可 |
上記型番の価格 | 57万円 | 29万円 | 57万円 | 15万円 | ― |
フィニッシャーのタイプ | サドル | サドル | サドル | インナー | ― |
パンチユニット | 7万7,000円 | 7万円 | 7万円 | 7万円 | ― |
※上記の複合機に付けられるフィニッシャーの型番は、あくまでも一例です。スモールオフィス向けの機種:MX-2610FNにもサドルフィニッシャーを取り付けることは可能ですし、フィニッシャーの型番によって搭載されている機能は異なります。また、フィニッシャーを取り付ける場合は、給紙デスク(段数によって金額は異なる)と中継ユニット(4万円程度)も必要です。
Canonの場合(一例)
オフィスタイプ | ハイボリューム | ミドルオフィス | スモールオフィス | ||
複合機の機種 | C7580 II | C5560 II | C7272 | C3530F | C3530 II |
フィニッシャーの商品名(一例) | 中綴じフィニッシャー・V2 | 中綴じフィニッシャー・Y1 | 中綴じフィニッシャー・L1 | 中綴じフィニッシャー・AA1 | インナーフィニッシャー・K1 |
上記商品の価格 | 42万円 | 42万円 | 45万円 | 40万円 | 12万円 |
フィニッシャーのタイプ | サドル | サドル | サドル | サドル | インナー |
パンチユニット | 6万円 |
※上記の複合機に付けられるフィニッシャーの型番は、あくまでも一例です。また、フィニッシャーによって機能が異なり、インナーでもサドルでも取り付け料(3,000~5,000円程度)が必要です。
オプションで追加すべき?
ホチキス留めやファイリング用の穴あけ、希望する形への折りたたみなど、今まで手間と時間を掛けて慎重に行っていた作業を自動で行ってくれる便利な機能であることは間違いありませんが、かなり高額な費用を支払ってまでオプションで追加する必要が本当にあるのか?は、見極めが難しいところです。
毎日のように資料を使った会議が行われている場合や、大量のファイリングもしくは郵送物が日々発生する企業、冊子やカタログを作ることがメインの仕事など『必要なところには必要』で、かなり役立つ機能と言えるでしょう。コストは掛かりますが、代わりに人件費と作業時間が大幅に改善されることは間違いありません。また、ボタン一つで簡単に複合機がやってしまえることを、わざわざ人間が神経を使って作業する必要は感じられません。
しかし、インナーフィニッシャーは大量のステープル(ホチキス留め)を毎日のように行っていると、わりと故障しやすく、あくまで小規模の印刷向け。たまに、もしくは毎日でも数枚程度しかステープルやパンチをしないのであれば、そこまで強い必要性は感じられません。個人的な結論ではサドルフィニッシャーなら『必要なところには必要』で、インナーフィニッシャーで充分なら手作業でも充分なのでは?と思います。
当然ながら複合機・コピー機のセールス担当者は、インナーフィニッシャーでも追加した方が良い!と思わせるようなニュアンスでアピールしてくるため「あっても良いな…」と騙されて考えてしまいがちですが、思ったほど使わない可能性もあり、さらに消耗品(針)は市販のホチキス針より高いので、慎重に検討しましょう。
フィニッシャーの種類
フィニッシャーには、複合機の排紙部分に取り付ける「インナーフィニッシャー」と複合機の横に設置する「サドルフィニッシャー」の2種類があります。
インナーフィニッシャー
インナーフィニッシャーは、連続複写速度が1分あたり25枚から30枚程度の中速機向きで、複合機の排紙部分に取り付けるためスペースをとらないことが利点です。
プリントアウトに連続してホチキス止めができるので、会議資料などちょっとした資料作成にとても便利な機能です。
◆インナーフィニッシャーの特徴◆
本体内部にとりつけるので余分なスペースは不要 |
主な機能はステープル止め・・・最大ステープル枚数 A4:50枚程度 |
標準価格は¥120,000~¥150,000程度と比較的安価 |
穴あけパンチユニットを取り付けることで、穴あけパンチができる |
メーカーによっては、針なしステープルやマニュアルステープルにも対応 |
▼針なしステープルの動画解説
▼マニュアルステープルの動画解説
サドルフィニッシャー
サドルフィニッシャーは連続複写速度が1分あたり30枚以上の中・高速機向きの機能です。
複合機の横に設置することになるため設置スペースが必要となりますが、インナーフィニッシャーより多くの枚数をステープル止めできるほか、オプションを追加してユニットを組み合わせることで紙折りや中綴じなど多くの作業に対応できます。インナーフィニッシャーに比べると高額になりますが、カタログなどの小冊子や資料作りを頻繁に行う場合には欠かせない便利機能です。
サドルフィニッシャーの特徴
ユニットを追加することで多彩な機能を追加できる |
・ステープル止め→最大ステープル枚数 A4:50枚~65枚程度 |
・パンチ(穴あけ処理) ※穴あけパンチユニットが必要 |
・中綴じ(二つ折りの小冊子作成)※中綴じフィニッシャーが必要 |
・Z折り・三折りなど(用紙をコンパクトに折りたたむ)※紙折ユニットが必要 |
価格は追加する機能の組み合わせによって異なる |
フィニッシャーの構成例
フィニッシャーの構成例と標準価格を記載します。標準価格はあくまで定価であり、実際の購入価格はこれより安く購入することができます。
- 省スペースのインナーフィニッシャー 合計 2,300,000円(標準価格・税別)
![]() 【出典】ゼロックス公式サイトより |
標準価格 |
DocuCentre-VII C3373 PFS | 2,180,000円 |
フィニッシャーA2 | 120,000円 |
- 50枚綴じ+中綴じ+穴あけが可能 合計 3,330,000円(標準価格・税別)
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標準価格 |
DocuCentre-VII C5573 PFS | 2,880,000円 |
フィニッシャーB3 | 260,000円 |
フィニッシャーB3 中とじユニット | 130,000円 |
フィニッシャーB3 パンチユニット2/4穴 | 60,000円 |
- 65枚綴じ+三折り/Z折り+中綴じ+穴あけが可能 合計(標準価格 4,110,000円・税別)
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標準価格 |
DocuCentre-VII C5573 PFS | 2,880,000円 |
中とじフィニッシャーC3 パンチ別 | 440,000円 |
フィニッシャーC3 ステープルユニット65枚 | 30,000円 |
フィニッシャーC3 パンチユニット2/4穴 | 60,000円 |
紙折りユニット CD1 | 700,000円 |